シラウオの旬

旬は2~4月です。

「御止魚(おとめうお)」

徳川家康が江戸に幕府を開いたとき、江戸には豊かな海があるにもかかわらず、漁師の数が足りず、漁猟の技術も伴っていませんでした。そこで家康は一計を案じます。漁猟の名手である摂津国佃村(現、大阪市西淀川区)の漁師二十数名を江戸に呼び寄せ、「毎日江戸城に新鮮な魚介類を届ければ無税にする」という条件をつけて、江戸湾に浮かぶ小島に住まわせました。これが「佃島」のはじまり、築地魚河岸のルーツです。

ある日のこと、佃島の漁師の網に透明な白い魚がかかりました。よく見ると、魚の頭に徳川家の葵の御紋が……! 脳髄が透けて見えていたものですが、これを家康に献上したところ、三河の海で獲れるシラウオが好物だった家康はたいそう喜び、漁獲量を確保するためにシラウオを「御止魚(おとめうお)」としました。家康が存命の間は、献上魚以外は漁も売買も禁じられてしまったわけです。
こうしてシラウオは、「御用白魚」と金色で書かれた朱塗りの献上箱に入れられ、さらに「御本丸御用」と朱色で書かれた黒漆塗りの鋏み箱に入れられて、裃(かみしも)をつけた佃島の漁師たちによって献上されるようになりました。
ちなみに「佃煮は、佃島の漁師たちが、余った小魚などを保存がきくように味濃く煮たものが元祖といわれています。

シラウオ(白魚)とシロウオ(素魚)

シラウオ(白魚)とシロウオ(素魚)はよく混同されます。
シラウオは、キュウリウオ目シラウオ科の魚で、成魚は体長10cmぐらいになります。口がとがっていて、背びれの後ろに「あぶらびれ」という小さな丸いひれがあり、アユやシシャモ、ワカサギなどと近縁であることを示しています。
一方、シロウオは、スズキ目ハゼ科で、分類上まったく別の魚です。成魚は全長4~5cmほどで、わずかに黒い色素細胞がある以外、体はほぼ透明で、うきぶくろや脊椎などが透けて見えます。春先、産卵のために川を上るものを獲り、生きているままを食べる「踊り食い」として出されることが多いようです。そのため、パック詰めにした活魚で流通し、多くは「イサザ」という名で呼ばれています。
ちなみに、標準和名のイサザは、ハゼ科ウキゴリ属の魚で、琵琶湖だけに分布している、まったく別の魚です。

シラウオの主な栄養成分

カルシウムたっぷり

魚体を丸ごと食べることができるので、とくにカルシウムがたっぷり摂れます。さらに、マグネシウムやリンなど、骨の生成に不可欠なミネラルも補ってくれます。

レチノール

ビタミンAとなるレチノールが多く、活性酸素を抑え、動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病を予防します。また、皮膚や粘膜の細胞を正常に保ち、免疫力を高める働きもあります。

おいしいシラウオの選び方

透明度が高くてハリのあるもの、眼がくっきりと黒いものが新鮮です。

シラウオの調理のポイント

繊細なので、丁寧に扱います。
調理する前に、薄い塩水で軽く洗い、ざるに上げて水切りします。
揚げ物にする場合は、布巾でそっと水気をとります。
繊細な味わいを楽しむため、味付けはごく薄めに。